MMSE検査は、認知機能状態をスクリーニング評価し、どの機能が低下しているのかを把握することができる検査です。
物忘れが多くなった、言ったことを覚えていない、いつもと違うと感じる、と本人よりも先に家族が不安に感じるかも知れません。
MMSE検査をすることで”正常”もしくは”軽度認知機能障害の疑い”ありの結果になる可能性があります。
認知症リハビリ専門士は、認知症を改善していくために、患者さんの生活習慣や健康状態、脳・内臓・筋・心(生き方・考え方)の状態を評価します。
評価した上で認知症を改善するためのリハビリを行うことが基本になります。
この記事では、MMSE検査をすることで、低下している脳部位と認知機能を知ることができます。
MMSE検査で評価する脳部位と認知機能
MMSE検査の各項目では、どのような認知機能を評価していくのか見て行きましょう。
認知症事例の改善策を考察~非薬物療法により認知症改善できる~
時間の見当識
「今日は何日ですか」
「今年は何年ですか」
「今の季節は何ですか」
「今は何曜日ですか」
「今は何月ですか」
各1点 計5点
時間の見当識障害の有無を評価
関係する脳部位→側頭葉(海馬)、前頭葉
場所の見当識
「ここは都道府県でいうと何ですか」
「ここは何市(*町・村・区など)ですか」
「ここはどこですか」
「ここは何階ですか」
「ここは何地方ですか」
各1点 計5点
場所の見当識障害の有無の評価
関係する脳部位→前頭葉
即時想起
「今から私がいう言葉を覚えてくり返し言ってください」
→「さくら ねこ 電車」
「今の言葉は、後で聞くので覚えておいてください」
→質問5で再度答えてもらうため
1単語につき各1点 計3点
即時記憶の評価
関係する脳部位→海馬
計算
「100から順番に7をくり返しひいてください」
→5回くりかえし計算する
1回の正答につき各1点 計5点
計算力 集中力 同時進行で2つのことが出来るかの評価
関係する脳部位→前頭葉
遅延再生
「さっき私が行った3つの言葉は何でしたか」
→質問3の単語を再度言ってもらう
1単語正答につき各1点 計3点
近時記憶の評価
関係する脳部位→海馬 前頭葉
物品呼称
時計または鍵を見せながら「これは何ですか」
鉛筆を見せながら「これは何ですか」
各1点 計5点
失語 失認の有無の評価
関係する脳部位→側頭葉 前頭葉 後頭葉
文章の復唱
「今から私がいう文を覚えてくり返し言ってください」
→「みんなで力を合わせて綱を引きます」
1回で正確に答えられたら1点
即時記憶の評価
関係する脳部位→側頭葉 前頭葉
口頭指示
「今から私がいう通りにしてください。
①右手にこの紙を持ってください。 ②それを半分に折りたたんでください
それを半分に折りたたんでください。 ③そして私にください。」
1動作が出来たら1点 計3点
動作性課題(聴覚優位)の理解の評価
関係する脳部位→側頭葉 前頭葉
書字指示
「この文を読んで、この通りにしてください」
→被験者自ら読んで行動する[目を閉じてください]
実際に目を閉じれば1点 計1点
動作性課題(視覚優位)の評価
関係する脳部位→側頭葉 後頭葉
自発書字
「この部分に何か文章を書いてください。 どんな文章でもかまいません」
意味の成立する文章ならば1点 計1点
記憶の想起の評価
関係する脳部位→側頭葉 前頭葉
図形模写
「この図形を正確にそのまま書き写してください」
→検査用紙に描かれた図形を模写する
2つの五角形が重なっていれば1点 計1点
動作性課題(空間敵構成能力)の評価
関係する脳部位→頭頂葉 後頭葉 前頭葉
MMSE検査結果点数による評価
MMSE検査での正答した点数により、認知機能を評価します。
30~27点→正常
26~22点→軽度認知障害の疑いあり
21~ →認知症の疑いが強い
認知症のリハビリを行い定期的にMMSE検査を行っていきます。
どの程度改善しているかを、見る指標になります。
点数が上がると、リハビリに励んでいる患者さんは、達成感を得られ喜びもひとしおでしょう。
但し、わたしの母がそうですが、言語機能の困難な方は、無理にMMSE検査を行う必要はありません。
生活習慣や健康状態を考察したり、内臓、筋、生き方などからも認知症を改善するための
評価することが出来ます。
認知症で悩む人やそのご家族が、認知症は改善できるということを知って安心してリハビリに取り組んでほしいと思います。
そのためには、認知症の人の努力は必要になりますが、ご家族の協力がなによりも重要になります。
認知症は進行性のものと言われるのは過去の話で、もう認知症は改善できる時代なのです。
END
この記事を最後までご覧いただき、ありがとうございます。
またお会いしましょう。